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Gemini APIの無料枠は今も使える?上限の確認方法と課金の境界

新規プロジェクトはgemini-3.8-flashから始めます。課金後もTier 1なのに無料枠の上限で止まるなら、まずAPIキーのプロジェクトと請求先アカウントを確認します。

•••46 分で読めます•APIガイド
APIキーからTier 1と無料枠に分かれる図。課金の線の上にPro・画像・動画、下に無料枠のgemini-3.8-flash

2026年10月10日更新: 課金を有効にしてTier 1と表示されているのに無料枠のクォータで止まる場合の確認順と、無料枠に戻す方法を追加しました。料金ページから外れたgemini-3.7-flashとgemini-3.5-flashの扱いも修正しています。

2026年10月8日訂正: Googleはgemini-2.5-flash-imageの提供終了日を当初の2026年10月2日から2027年3月15日に延期し、移行先をgemini-3.1-flash-lite-image(Nano Banana 2 Lite)に変更しました。本文はこの日程に合わせて修正しています。

2026年10月10日時点で、Gemini Developer APIの無料枠は残っています。 日本はGoogleの対応地域に含まれており、Google AI StudioでプロジェクトとAPIキーを作成すれば、対象モデルを無料で呼び出せます。

無料で呼び出せるのは gemini-3.8-flash や gemini-3.5-flash-lite などのFlash系テキストモデルと、音声・エンベディングの一部です。現行のPro(gemini-3.1-pro-preview)、画像、動画、音楽のモデルには無料枠がなく、APIで使うには課金が必要です。これから始めるなら、gemini-3.8-flash か gemini-3.5-flash-lite を選びます。

一方、「1日に何回まで使えるか」は一覧表では決まりません。無料価格の対象モデルと、プロジェクトに実際に付与されたレート制限は別の情報だからです。入力データの扱いや公開アプリの地域によっては、上限が余っていても無料枠を選ぶべきではありません。

すでに課金を有効にし、AI StudioでもTier 1と表示されているのに、429のエラー本文に free_tier を含むクォータ名が出る場合は、上限の大小ではなく、リクエストが無料枠として処理されていることが問題です。まず失敗しているAPIキーがどのプロジェクトのものかを確かめます。原因と確認順、無料枠へ戻す方法は後半の2つの節にまとめています。

まず「無料」の意味を分ける

無料枠を実務で使えるかは、次の3点で決まります。

  • モデルの価格:選んだモデルIDの入力・出力が無料枠で無料か。
  • プロジェクトの上限:AI Studioに表示されるRPM・TPM・RPDが用途に足りるか。
  • 用途の条件:データ利用規約、利用地域、停止時の影響を受け入れられるか。

Googleの Gemini Developer API料金ページ では、モデルごとに無料枠と有料枠が分けて表示されます。無料枠の欄が「無料」のモデルと「利用不可」のモデルがあり、Geminiという製品全体が一律に無料なのではありません。モデル名はファミリー名ではなく、正確なIDで確認してください。

Gemini APIで無料のモデル一覧:Flash系は無料、現行Proは課金が必要

2026年10月10日時点の料金ページで、無料枠の入力・出力がどちらも無料になっているテキストモデルは次のとおりです。状態(Stable/Preview)は モデル一覧ページ の表記です。

モデルID状態新規プロジェクトでの扱い
gemini-3.8-flashStable(最新のFlash)最初の候補
gemini-3.5-flash-liteStable最初の候補(軽量)
gemini-3.6-flashStable使える
gemini-3.1-flash-liteStable使える
gemini-3-flash-previewPreview(旧世代のFlash)Previewの制約あり
gemini-2.5-pro、gemini-2.5-flash、gemini-2.5-flash-lite2.5世代過去に使っていたユーザーに限定

10月1日時点の表にあった gemini-3.7-flash と gemini-3.5-flash は、10月10日時点で料金ページから外れています。非推奨モデルのページ では、どちらも停止日は未定で、リクエストはそれぞれ gemini-3.8-flash と gemini-3.6-flash に自動で転送されると説明されています。古いコードは動き続けますが、新しく書くコードでは転送先のモデルIDを直接指定します。

2026年10月10日時点のGemini APIモデルを「無料で呼べる」「条件つき」「課金が必要」の3列に分けた図

テキスト以外にも無料の行があります。

  • Live API:gemini-3.8-live、gemini-3.8-live-extended-thinking、gemini-3.1-flash-live-preview、gemini-3.5-live-translate-preview
  • 文字起こし:gemini-3.5-transcribe、gemini-3.5-transcribe-live
  • 音声合成(TTS):gemini-3.8-flash-tts、gemini-3.8-flash-lite-tts、gemini-3.1-flash-tts-preview、gemini-2.5-flash-preview-tts
  • エンベディング:Gemini Embedding 2
  • オープンモデル:Gemma 4(無料枠のみで、有料枠の欄が「利用不可」)

無料枠の欄が「利用不可」で、APIでは課金が必要なのは次の系統です。

系統モデル
現行のProgemini-3.1-pro-preview、gemini-3.1-pro-preview-customtools
画像gemini-nano-banana-2.1(Nano Banana 2.1)、gemini-3.1-flash-image(Nano Banana 2)、gemini-3.1-flash-lite-image(Nano Banana 2 Lite)、gemini-3-pro-image(Nano Banana Pro)、gemini-2.5-flash-image
動画gemini-omni-1.1-flash、gemini-omni-flash-preview、Veo 3.1
音楽Lyria 3.5、Lyria 3
音声合成の一部gemini-2.5-pro-preview-tts

「Proが無料」という説明を見かけたら、モデルIDを確かめてください。無料の行があるProは旧世代の gemini-2.5-pro だけで、これも次の節の制限を受けます。「Gemini 3 Flash」は gemini-3-flash-preview という特定のPreviewモデルの名前で、現行のFlash全体を指す呼び名ではありません。画像モデルの無料・有料の境界は Gemini画像生成の無料枠 で扱っています。

無料枠で使えるツールにも区別があります。同じ料金ページによると、Google検索によるグラウンディングは1日500リクエストまで無料(FlashとFlash-Liteで共有)、Googleマップも1日500リクエストまで無料で、どちらもProでは使えません。コード実行、URLコンテキスト、ファイル検索は無料で、Computer useは無料枠の対象外です。

用途ごとにFlash、Flash-Lite、Proのどれを選ぶかは 2026年のGeminiテキストモデル比較 が、3.8 Flashの仕様と料金は Gemini 3.8 Flash APIガイド が次の判断に使えます。

料金表で無料でも呼び出せない3つの場合

料金表の「無料」は価格の表示で、自分のプロジェクトから呼び出せることまでは意味しません。エラーや課金設定の要求に当たったときは、次の3つを疑います。

新規プロジェクトで2.5世代を指定している

2.5世代の利用は、過去に積極的に使っていたユーザーに限定されています。モデル一覧ページは、2.5世代は非推奨ではなく当面APIで提供を続けるとしたうえで、新規プロジェクトには3.5 Flash-Liteか3.8 Flashを使うよう案内しています。どの程度の利用実績が「積極的」にあたるかは示されていません。古い記事のコードに gemini-2.5-flash や gemini-2.5-pro が残っていたら、gemini-3.8-flash に書き換えるのが確実です。

Previewモデルを指定している

Previewモデルについて、Googleは「通常は課金が有効で、レート制限がより厳しい場合があり、少なくとも2週間前の通知で非推奨になる」と説明しています。gemini-3-flash-preview は料金表では無料ですが、長く使うコードの前提にするならStableのモデルIDが向いています。

gemini-flash-latest というエイリアスも同じ注意が必要です。リリースのたびに指す先が入れ替わるので、試すだけなら便利ですが、挙動を固定したい用途には合いません。

AI Studioの画面でしか試せないモデルを指定している

料金ページでは、gemini-3.1-pro-preview、Nano Banana 2、Nano Banana Proに「Google AI Studioでテスト可能」という脚注が付いています。これはAI Studioの画面上で試せるという意味で、APIを無料で呼び出せるという意味ではありません。画面で動いたモデルを同じキーでAPIから呼び出すには、課金を有効にしたプロジェクトが必要です。

停止済みのモデルIDもエラーの原因になります。gemini-2.0-flash、gemini-2.0-flash-lite、gemini-3.1-flash-lite-preview、gemini-3-pro-preview はすでに停止されています。gemini-2.5-flash-image は当初2026年10月2日に停止される予定でしたが、非推奨モデルのページでは停止日が最短で2027年3月15日に変更され、移行先は gemini-3.1-flash-lite-image になっています。

Gemini APIの無料枠はいつまで使える?終了日は公表されていない

無料枠そのものに終了日は設定されていません。料金ページにも課金ガイドにも、無料枠の期限は書かれていません。

入れ替わるのはモデルのほうです。上の停止済みモデルのように、無料で使えていたモデルIDが停止されたり、2.5世代のように新規プロジェクトから使えなくなったりします。料金ページにも「レート制限は変更される場合があります」と書かれています。

無料枠を長く使うには、モデルIDをコードに直書きせず設定値にしておき、料金ページとモデル一覧ページで状態を定期的に確かめるのが現実的です。

無料枠の上限はAI Studioのプロジェクト画面で確認する

モデル別の無料枠の上限は、Googleのドキュメントには表として載っていません。Googleの レート制限ドキュメント は、有効な制限をAI Studioで確認するよう案内しています。主な指標は次の3つです。

指標制限するもの先に達しやすい処理
RPM1分あたりのリクエスト数多数の短い同時リクエスト
TPM1分あたりの入力トークン数長文、PDF、大きなコンテキスト
RPD1日あたりのリクエスト数継続的なバッチやチャット

RPDは太平洋時間の午前0時にリセットされます。日本時間の0時ではありません。制限はAPIキー単位ではなくプロジェクト単位です。同じプロジェクトにキーを追加しても枠は増えず、開発環境、バッチ、デモが同じ枠を消費します。

プレビュー版や試験運用版のモデルは、より厳しい上限になります。公式ページも、記載されたレート制限が実際の処理能力を保証するものではないと説明しています。したがって、ほかのサイトで見た「○RPM、○RPD」を自分のプロジェクトに当てはめるのは危険です。

実装前には次の順で確認します。

  1. APIキーが属するプロジェクトを特定する。
  2. AI Studioでそのプロジェクトの有効なレート制限を開く。
  3. 使用する正確なモデルIDを選ぶ。
  4. RPM、TPM、RPDと利用ティアを記録する。
  5. すべての共有ワークロードを含めて必要量を見積もる。

例えば、呼び出し回数が少なくても1回に数万トークンを入力する文書処理はTPMが先に尽きます。短い問い合わせを同時に受けるチャットはRPMがボトルネックになりやすいでしょう。利用ティアごとの違いは Gemini APIのレート制限を利用ティア別に確認する で確認できます。

現行SDKでgemini-3.8-flashを1回だけ動かす

Googleの スタートガイド は、Interactions APIから始める構成になっています。AI Studioは新規ユーザーにプロジェクトとAPIキーを自動で作成するので、そのキーを環境変数 GEMINI_API_KEY に保存します。

bash
export GEMINI_API_KEY="YOUR_API_KEY"
pip install -U google-genai

次は、無料の行があり新規プロジェクト向けに案内されている gemini-3.8-flash を指定した最小構成のPythonコードです。

python
from google import genai

client = genai.Client()

interaction = client.interactions.create(
    model="gemini-3.8-flash",
    input="ベクトルデータベースを3文で説明してください。",
)

print(interaction.output_text)

成功したら、AI Studioの使用量に反映されたプロジェクトとモデルを確認します。これで、別プロジェクトのキー、環境変数の設定ミス、古いモデルIDを早い段階で発見できます。APIキーを公開フロントエンドやGitリポジトリに置かないことも、無料・有料に関係なく必要です。

429は原因を特定してから再試行する

429 RESOURCE_EXHAUSTED は、どの制限を超えたかまで自動的に説明してくれるわけではありません。

  • 同時実行の直後ならRPMを疑い、並列数を減らしてジッター付き指数バックオフを入れる。
  • 大きな入力を少数送っただけならTPMを確認し、分割や短縮を行う。
  • しばらく動いた後、その日ずっと失敗するならRPDを確認する。
  • 複数のキーが同時に止まるなら、共有プロジェクトを確認する。
  • プレビューだけ失敗しやすいなら、用途に合う安定版と比較する。
  • 課金済みなのに、エラー本文のクォータ名に free_tier や FreeTier が入っているなら、待っても再試行しても直りません。後述の「課金してTier 1と表示されるのに無料枠のままになる原因」の順に確認します。

日次枠を使い切った状態で再試行を繰り返しても、枠は回復しません。Googleの 課金ガイド によると、400や500で失敗したリクエストはトークン料金こそ請求されませんが、クォータには数えられます。誤ったリクエストを繰り返すだけでも枠は減ります。

詳細な切り分けが必要なら、Gemini APIの429・400・500エラーを直す方法 も参照できます。

無料枠に機密データを入れない

Googleの Gemini API追加利用規約 では、無料で提供されるサービスに送信した内容と生成された回答が、Google製品や機械学習技術の提供・改善・開発に使われるとされています。人による確認が行われる可能性もあり、機密情報、秘密情報、個人情報を送らないよう明記されています。

そのため、顧客データ、非公開コード、契約書、医療・金融情報を扱う用途は、残り回数だけで無料枠を選ばないでください。有料サービスでは、プロンプトと回答をGoogle製品の改善に使用しないという契約になりますが、組織側のセキュリティや保存方針の確認は引き続き必要です。APIが有料サービスとして扱われるのは、有効な請求先アカウントに関連付けたCloudプロジェクトから呼び出す場合だけです。

地域の条件もあります。対応地域一覧 では日本が対象です。EEA、スイス、英国については、開発者自身がその地域で無料枠を試すことはできますが、APIクライアントをこれらの地域のユーザーに提供する場合は、規約上、有料サービスが必要です。

課金を有効にする判断線:前払いは最低5米ドル

学習、ハッカソン、低頻度の社内PoCなど、停止の影響が小さく入力が非機密なら無料枠を活用できます。次のどれかに当てはまるなら、有料化を通常の運用判断として検討する段階です。

  • 現行のPro、画像、動画、音楽のモデルをAPIで使う。
  • 実ユーザーが容量変動の影響を受ける。
  • キューや再試行だけでは必要な応答性を満たせない。
  • 無料のサービスに送れないデータを扱う。
  • 利用者の地域条件で有料サービスが必要になる。
  • 無料枠を守るための開発・運用コストがAPI料金を上回る。

Googleの 課金ガイド によると、無料枠から有料枠へ移るには請求先アカウントを関連付け、少なくとも 5米ドル(または現地通貨での相当額)を前払いします。実際の最低額は、地域と利用ティアに応じて画面に表示されます。無料枠からティア1への切り替えは通常すぐに反映されます。

前払いには知っておくべき動作が3つあります。

  • 購入したクレジットは12か月で失効します。
  • 残高が0米ドルになるとリクエストはHTTP 402で失敗し、プロジェクトが自動で無料枠に戻ることはありません。
  • 無料枠に戻すには、プロジェクトと請求先アカウントの関連付けを外します(手順と影響は後述)。

一般的なGoogle Cloudの300ドル新規クレジットとは別物です。Googleは、2026年3月2日より後に開設した請求アカウントの新規クレジットをGemini APIやAI Studioの支払いに使えないと説明しています。課金後もレート制限と支出上限は残るため、AI Studioで継続して監視します。

課金の設定手順は Gemini APIキーの正しい課金方法と安全な始め方 で、モデル別の単価の考え方は Gemini APIのToken料金ガイド で扱っています。

課金してTier 1と表示されるのに無料枠のままになる原因

最初に疑うのは、失敗しているリクエストが課金済みのプロジェクトで動いていないことです。Googleの 課金ガイド によると、利用ティアは請求先アカウント単位で決まり、そのアカウントにリンクしたプロジェクトがティアを引き継ぎます。APIキーは独自の課金設定を持たず、作成されたプロジェクトのティアと課金状態をそのまま引き継ぎます。つまり、同じGoogleアカウントでも、請求先アカウントにリンクしていない別プロジェクトで作ったキーは無料枠のままです。

請求先アカウントにリンクした課金済みプロジェクトのキーAはTier 1のクォータ、リンクのないデフォルトのプロジェクトのキーBはfree_tierの429になる図

キーとプロジェクトが正しくても、請求先アカウントの状態、支払いの確認待ち、アカウントへの制限で無料枠の上限が適用されることがあります。次の順に確認し、問題が見つかればその段階で直します。

順番確認すること見る場所次へ進んでよい状態
1無料枠として処理されているか429のエラー本文クォータ名に free_tier / FreeTier が入っている
2APIキーのプロジェクトAI StudioのAPIキー画面とプロジェクト画面、アプリが読み込むキーキーのプロジェクトがTier 1で、"Set up billing" などの表示がない
3請求先アカウントの状態Google Cloudコンソールの課金、AI Studioの課金画面無料トライアルでも閉鎖でもなく、未払いがなく、前払い残高がプラス
4反映までの時間支払いからの経過時間カード払いから10分以上たっている(銀行振込は入金確認後)
5アカウントへの制限両画面のバナー、個人アカウントでの比較警告がなく、個人アカウントのプロジェクトでも同じ結果
6Google側の問題―1〜5で原因が見つからない場合は問い合わせる

429の本文で無料枠のクォータ名を確かめる

エラー本文の quotaMetric や quotaId に generativelanguage.googleapis.com/generate_content_free_tier_requests や GenerateRequestsPerMinutePerProjectPerModel-FreeTier が出ていれば、そのリクエストは無料枠として評価されています。

モデルによって表れ方が違います。現行のProや画像モデルのように無料枠がないモデルは、無料枠として評価された時点で limit: 0 になり、1回目から失敗します。無料の行があるFlash系のテキストモデルは、無料枠の低い上限までは成功し、それを超えたところで止まります。Google AI 開発者フォーラムでGoogleの担当者は2026年7月29日、テキストは成功して画像モデルだけ失敗した例を、この違いで 説明しています。

クォータ名に free_tier が入っていないエラーは、この節の対象ではありません。

  • HTTP 402:前払い残高が0になっています。無料枠に戻ったわけではなく、クレジットを追加するまで止まります。再試行しても回復しません。
  • free_tier を含まない429:有料ティアのレート制限か、10分ごとの支出上限(Tier 1は10分あたり$10)に達しています。現在の値は Gemini APIのレート制限を利用ティア別に確認する の方法で確認します。
  • 403 "Your project has been denied access":アカウントやプロジェクトへの制限を疑います(5番目の確認)。

APIキーが課金済みプロジェクトのものか確認する

AI StudioのAPIキー画面で、アプリが実際に使っているキーがどのプロジェクトに属しているかを確認します。次にプロジェクト画面(Projects)の "Billing Tier" 列で、そのプロジェクトのティアを見ます。課金ガイドによると、この列や "Status" 列には次の表示が出ることがあります。

  • "Set up billing":プロジェクトに請求先アカウントがリンクされていない。
  • "Set up Prepay":リンクはされているが、前払いの設定が終わっていない。
  • "No credits":前払いが必要なのに設定されていないか、残高がなくなっている。

どれかが出ていれば、その表示を押して手続きを完了します。

取り違えが起きやすいのは、AI Studioが新規ユーザー向けに自動で作るデフォルトのプロジェクトと、あとから課金を設定したプロジェクトが並んでいる場合です。本番環境の環境変数やシークレットに、課金前に作った古いキーが残っていることもあります。フォーラムでGoogleの担当者は、キーを作ったプロジェクトが請求先アカウントにリンクされていないと、請求先アカウント自体が有効でもこのエラーになると 回答しています(2026年8月11日)。別のスレッドでは、プロジェクトを調べても429が記録されておらず、呼び出しているプロジェクトかキーの取り違えだろうという回答もありました(2026年7月7日)。

迷ったら、Tier 1と表示されているプロジェクトでAI Studioから新しいキーを作り、アプリのキーを差し替えます。同じフォーラムで担当者が2026年8月21日に案内した手順でもあります。差し替えたキーで送ったリクエストが、AI Studioの使用量画面(Dashboard > Usage)でそのプロジェクトの利用として表示されれば、この段階は確認できています。

Google Cloudコンソールでプロジェクトを作り、そこで請求先アカウントをリンクしただけの場合は注意が必要です。AI Studioは既存のCloudプロジェクトを自動では表示しないので、プロジェクト画面の "Import projects" で取り込んでからティアを確認します。Cloudコンソールで課金をリンクし、クレジットもあるのに無料枠のままだったという GitHubの報告(2026年3月4日)には、Googleの回答がありません。課金ガイドでは有料枠への移行を「請求先アカウントのリンク」と「AI Studioでの最低5米ドルの前払い」の組み合わせとしているので、AI Studio側の "Set up billing" を最後まで終えていなかった可能性があります(推測です)。

請求先アカウントの状態を確認する

キーとプロジェクトに問題がなければ、請求先アカウントそのものを見ます。直す場所はAI StudioではなくGoogle Cloudコンソールの課金であることが多い点に注意してください。

Google Cloudの無料トライアル(Free Trial)は、Gemini APIの無料枠(Free Tier)とは別の仕組みです。請求先アカウントがCloudの無料トライアル状態のままだと、前払いをしても無料枠の上限が残ることがあります。2026年9月8日、Googleの担当者は、Prepayで残高もあるのに無料枠だったプロジェクトについて、リンク先の請求先アカウントが無料トライアル状態のままだったことが原因だと 回答しました。Cloudコンソールでアップグレードを完了してトライアルを抜け、そのあとAI Studioで前払いする手順です。担当者は「手動で課金状態を同期する仕組みはない」とも書いています。

課金ガイドのFAQには、次の状態も挙げられています。

  • AI Studioの課金画面に "The billing account type is inactive or unsupported" と出る:請求先アカウントの種類か状態が有料枠の対象外です。無料トライアルのアカウントなら有効化し、閉鎖済みのアカウントなら再開します。
  • 滞納、決済の拒否、無効または期限切れの支払い方法がある:前払い残高が残っていても、Gemini APIの利用が停止されます。同じ請求先アカウントで後払いしている他のGoogle Cloudサービスの未払いも対象です。
  • 既存の後払い(Postpay)アカウントに前払いを追加する手続きを途中でやめた:アカウントが請求できない状態のまま残り、リンクされた全プロジェクトに影響します。手続きを最後まで終えるか、Cloud Billingサポートに状態のリセットを依頼します。

Google Cloudの300ドル分の新規クレジットは、2026年3月2日より後に開設した請求先アカウントではGemini APIに使えません。また、前払いの請求先アカウントでは、対象のCloudクレジットも前払いのクレジットを購入するまで使えません。「クレジットはあるのに無料枠のまま」というときは、そのクレジットがGemini APIに使えるものかを確かめます。

後払いのアカウントについては、公式ドキュメントにない説明もあります。フォーラムでGoogleの担当者は、Tier 1・後払いのプロジェクトが無料枠の上限になった例を「請求先アカウントの支払い実績が少ないため」と説明し、前払いで実績を作るか、支払い実績のある別の請求先アカウントをリンクするよう案内しました(2026年7月29日)。別の回答では、後払いのアカウントに前払いをしても、前払いの額とは関係なく請求先アカウントが昇格の基準に達する必要がある、と短く答えています(2026年8月12日)。どちらもGoogleが条件を公表したものではなく、個別の回答です。

ティア昇格の反映時間:カード払いなら10分を目安にする

レート制限のドキュメント によると、無料枠からTier 1への昇格は通常すぐに反映され、それ以降の昇格も10分以内に反映されます。課金ガイドも、支払いの成功後、ティアの昇格は通常10分以内に反映されると説明しています。

例外は支払いの確認に時間がかかる場合です。カード払いの多くはすぐに確認されますが、銀行振込などは確認まで数日かかることがあり、クレジットの購入が正式に確認されるまで昇格しません。また、課金画面の費用グラフは更新に最大24時間かかるので、グラフが動かないことを判断材料にはしません。

カードで支払って10分以上たっても無料枠のクォータ名が出るなら、待つだけで直る可能性は低いと考えて次の確認に進みます。フォーラムには48時間以上変わらなかったという報告が複数あります。

Workspaceアカウントと "Unavailable" 表示を確認する

「Google Workspaceのアカウントには無料枠がない」という説明を見かけることがありますが、Googleのドキュメントにはそうした記載はありません。Workspace向けのページ にあるのは、AI Studioがすべてのエディションで既定で有効なこと、管理者が組織部門ごとにオフにできること、Workspace for Educationの18歳未満のユーザーは使えないことです。

一方、報告はあります。2026年2月12日の noteの記事 では、Workspaceアカウントで作った新しいキーの最初のリクエストが429になり、課金していないプロジェクトの "Quota Tier" が "Unavailable" と表示され、同じ手順は個人の@gmail.comアカウントでは動いたとされています。2026年9月にもフォーラムで、Workspace(Educationを含む)のプロジェクトが "Billing Tier: Unavailable"、"Status: Restricted" になり、403 "Your project has been denied access" が返るという投稿が続いています。

ただし、Googleの担当者は "Unavailable" の表示を「アカウントにフラグが付いている」ことの表れだと説明しており、個人のGmailアカウントでも同じ表示の報告があります。Workspaceだから無料枠がない、とまでは言い切れません。確かめるには、個人のGoogleアカウントでプロジェクトとキーを作り、同じモデルに同じリクエストを送って結果を比べます。個人アカウントでは無料枠で動き、Workspaceのプロジェクトだけが失敗するなら、Workspace側のプロジェクトに制限がかかっていると見るのが自然です。

課金済みのプロジェクトでフラグを疑う場合、Googleの担当者は次の確認を案内しています(2026年7月20日、9月14日)。

  • AI Studioのプロジェクト画面と課金画面にバナーやエラー表示がないか。多くの場合、次の手順や異議申し立てのリンクが付いている。
  • Googleアカウントで年齢確認、電話番号の確認、2段階認証プロセスを済ませているか。
  • 解決するまでの間、一時的なレート制限の引き上げを申請する。

担当者は、フラグが付いたアカウントで課金を設定すると多くの場合フラグは外れる一方、無料枠のクォータは失われるとも説明しています。

1〜5で原因が見つからなければGoogleに問い合わせる

正しく課金されたTier 1のプロジェクトがどんな条件で無料枠として扱われるのか、Googleは条件の一覧を公表しておらず、自分で課金状態を再同期する手段もありません。Google側の一時的な問題だった例もあります。Tier 1・前払いのプロジェクトで48時間すべての呼び出しが429になった件では、担当者が最終的に「一時的なバックエンドのエラーで、解消済み」と回答しました(2026年9月2日)。日本から投稿された画像モデルの limit: 0 の件は、何も変えずに翌日成功したと報告されています(2026年4月14日)。

問い合わせ先は、Google CloudのCloud Billingサポートか、Google AI 開発者フォーラムです。伝える情報は次のとおりです。

  • プロジェクト番号(またはプロジェクトID)と請求先アカウントID
  • 429のエラー本文全体と、発生した日時
  • 1〜5で確認した内容

APIキーは絶対に貼らないでください。フォーラムでは、担当者がプロジェクト番号をダイレクトメッセージで求めることが多くあります。Cloud Billingサポートに問い合わせようとしたら権限がなかったという報告もあるので、その場合はフォーラムを使います。

Gemini APIを無料枠に戻す方法と、戻したときに変わること

無料枠に戻すには、戻したいプロジェクトごとに課金を無効にします。課金ガイドの表現では「プロジェクトと請求先アカウントのリンクを外す」操作で、Google Cloudコンソールのそのプロジェクトの課金設定から行います。前払い残高を使い切っても無料枠には戻らず、HTTP 402で止まるだけです。

すべてを戻す必要はありません。課金ガイドは、有料枠のプロジェクトと無料枠のプロジェクトを、それぞれのAPIキーで使い分けられるとしています。本番用は課金したプロジェクトに残し、試作用にはどの請求先アカウントにもリンクしていないプロジェクトのキーを使う、という分け方です。同じ請求先アカウントにリンクしたプロジェクトはすべて同じ有料ティアになるので、無料で使うプロジェクトはリンクから外しておきます。

戻したときに変わることは次のとおりです。

項目無料枠に戻したプロジェクトでの扱い
前払いのクレジット請求先アカウントに残ると考えられます(推測:クレジットは請求先アカウントに紐づくため)。購入から12か月で失効し、後払いへの切り替え時を除いて返金されません。請求先アカウントを閉鎖すると残高は失われます
同じ請求先アカウントの他のプロジェクト有料ティアのまま動き、残高も消費し続けます
使えるモデル現行のPro、画像、動画、音楽のモデルはAPIから呼び出せなくなります(limit: 0)
上限無料枠のRPM・TPM・RPDに戻ります
データの扱い無料のサービスとして、送信内容がGoogle製品の改善に使われる可能性があります。課金を有効にしたAPIプロジェクトが1つも残らない場合、AI Studioのプロンプトも有料サービスの規約の対象外になります

データの扱いは、課金ガイドの「課金が有効なAPIプロジェクトが1つでもあれば、AI Studioのプロンプトは有料サービスの規約で扱われる」という説明と、前述の利用規約から導いたものです。機密データを扱う作業は、無料枠に戻したプロジェクトに移さないでください。

Geminiアプリの無料版とAPIの無料枠は別物

Geminiアプリ(gemini.google.com)の無料版は、APIの無料枠とは別の製品です。アプリで使えるモデルや回数はAPIキーには引き継がれず、APIの無料枠を使ってもアプリの上限は変わりません。

2026年10月1日時点でGoogleの プランページ に記載されていた無料プランの内容は、3.6 Flashの利用、画像の生成と編集、Deep Research、Gemini Live、Canvas、Gemです。3.1 Proへのアクセスは「変動する場合がある」とされています。アプリの上限はリクエスト数ではなく、プロンプトの複雑さ、使う機能、会話の長さに応じた計算量で数えられ、5時間ごとにリセットされ、週単位の上限もあります。プランの内容と価格は国によって異なります。

つまり、アプリの無料版で3.1 Proや画像生成を使えても、同じモデルをAPIから無料で呼び出せることにはなりません。APIでは前述のとおり、どちらも課金が必要です。

数字より長く使える確認手順

無料枠は今も、学習とプロトタイプに十分な価値があります。ただし、その価値は固定された一つの回数ではありません。公式料金ページで対象のモデルIDを選び、AI Studioで自分のプロジェクトの実上限を読み、最小の呼び出しを行い、データと地域の条件を確認する。この手順なら、モデルや上限が変わっても判断を更新できます。

信頼性、プライバシー、利用地域、運用負荷のいずれかが主な制約になった時点が、無料枠を卒業するタイミングです。

内容の誤りや、記事で扱っていない問題に気づいたら、記事の URL と状況を hi@laozhang.ai までお送りください。確認のうえ記事を更新します。