モデル名で先に決めるより、一本の納品映像をどこで区切れるかを決めた方が早く選べます。
15秒で切れない連続演技、複数の場面転換、多数の画像・動画・音声参照、生成後の部分修正が中心なら、Seedance 2.5を最初に試す理由があります。一方、4〜15秒の音声付きショット、公式の2K再生成経路、またはBaseウェイトを管理する明確な目的があるならMiniMax H3が先です。
ここでいう「先」は画質の優勝ではありません。公式デモ、消費者向けアプリ、API、ローカルウェイト、第三者サービスでは、出力までの処理が違います。案件に合う経路を選び、その経路を自分の素材で検証するための順番です。

絵コンテの区切りが15秒を超えるか
Seedance 2.5の公式発表は、一回で最大30秒の音声付き映像と、複数回の延長を説明しています。登場人物が控室から廊下を通って舞台に出る、商品を手に取って使い方を見せ、最後にロゴへ寄る、といった流れを一つの生成に入れられるのが大きな違いです。
30秒という値そのものより、継ぎ目を一つ減らせることに価値があります。別々に生成したショットをつなぐと、顔、衣装、照明、背景音、カメラ速度が切り替わる可能性があります。長い一回の生成でそれが減るなら、編集と再生成の合計が小さくなります。
ただし長いほど安定するとは限りません。途中で手や小道具が崩れれば、使えない秒数も増えます。30秒を使うべきなのは、連続性の価値が失敗範囲の拡大を上回る場面です。
H3の公式契約は4〜15秒です。短い広告、人物のリアクション、商品クローズアップ、会話の一往復なら、15秒は弱点にならない場合があります。細かいショットを意図的に組む作品では、短い単位の方が採用・不採用を早く判断できます。
参照素材の数は「情報量」ではなく役割で見る
Seedance 2.5は最大30枚の画像、10本の動画、10本の音声を一度に参照できます。キャラクター設定、ロケーション、商品形状、カメラワーク、演技、声、音楽を別の素材で指定する制作には余裕があります。さらにタイムスタンプ単位の編集、グリーンスクリーン、カメラ視点、参照ベースの編集を提供側が説明しています。
MiniMax H3のRef2VAは、画像9枚、動画3本、音声3本まで、混合ファイルは合計12個までです。一般的な短尺なら十分なことも多く、むしろ参照の役割を絞りやすい上限です。
どちらでも、似ているが異なる人物画像、矛盾したカメラ方向、別テンポの音声を大量に渡すと、モデルは「どれを優先するか」という新しい問題を抱えます。比較テストでは参照数を最大にせず、人物、空間、動き、音の責任を一つずつ割り当ててください。
720pと2Kは同じ欄に書けても同じ工程ではない
現在の BytePlus LAS拡張動画ドキュメント は、dreamina-seedance-2-5-260628に対して4〜30秒、同期音声、480p/720pを記載しています。同じページではSeedance 2.5は1080p非対応、4KはSeedance 2.0のみとされています。
第三者サービスが4Kを書いている場合、超解像や独自後処理を加えている可能性があります。そのサービスの成果物としては有効でも、BytePlus経路のネイティブ出力とは別に評価すべきです。
MiniMax H3の公式モデルカードは、Baseの標準出力を短辺768とし、H3-Regenerate-2Kで元のコンテキストとBase結果を使って2Kを再生成すると説明しています。単純な拡大ではありませんが、Regenerate-2Kは公開ウェイトに含まれず、APIを使うモジュールです。
つまり、比較すべき経路は次の三つです。
| 経路 | 受け取る契約 | 見落としやすいコスト |
|---|---|---|
| Seedance 2.5 / BytePlus LAS | 480pまたは720p、4〜30秒 | 入力動画も含む課金時間、再試行 |
| H3-Baseをローカル運用 | 標準で短辺768、音声付き | GPU、保存領域、運用、安全対策 |
| H3の公式2Kワークフロー | Base+Regenerate-2K | API資格情報、転送、待ち時間、追加費用 |
2Kが必要なら、H3のどの経路で得た2Kかを記録してください。Seedance側で超解像を使うなら、その工程も同じように記録します。
H3の「公開ウェイト」は完全ローカルという意味ではない
H3はContext-IR、Base、Regenerate-2Kの三要素で構成されます。公開されているのは、テキストや始終端フレームを扱うFL2VAのBaseと、混合参照を扱うRef2VAのBaseです。
複雑な自由入力を整理するContext-IRと、2K結果を作るRegenerate-2Kはホスト側に残っています。ローカルBaseはデータ経路や調整の自由を増やしますが、公式フルパイプラインを丸ごと所有するものではありません。モデルは33Bパラメータで、公式のサービング例も複数GPUを使います。導入判断にはGPUだけでなく、キュー、監視、保存、モデレーション、更新対応を入れる必要があります。
日本から使う場合もライセンス本文を読む
MiniMax H3 Community Licenseは、ApacheやMITではありません。2026年8月2日付の本文では、EU、英国、韓国、米国が除外地域です。日本は除外地域に含まれていませんが、年間売上が2,000万米ドルを超える商用製品・サービスには事前の書面承認が必要で、配布やホストサービスにも条件があります。
また、利用や表示、出力の扱いにも地域条項があります。日本で生成して海外へ配信する案件は、サーバー所在地だけで判断できません。ウェイト取得やグローバル公開の前に、当時の条文と配信地域を法務が確認してください。ここでの説明は法律助言ではありません。公式アプリやAPIの利用規約も別に確認します。
音声を含む短尺ではH3の検証価値が高い
H3は4〜15秒、24 FPS、32 kHzステレオを公式仕様にしています。日本語を含む11言語を安定対応の対話言語として列挙しています。短い会話、歌や環境音が重要なショットでは、映像と音を同時に作れることが工程短縮になります。
ただし「音声対応」は納品可能を意味しません。商品名の発音、声の連続性、リップシンク、環境音の位置、不意の字幕やノイズを確認します。アニメでH3、実写でSeedanceという制作例はテスト条件のヒントにはなりますが、普遍的なモデル順位ではありません。自社の絵柄、実写人物、台詞で分けて測るべきです。
価格差は一回の生成ではなく採用カットで計算する
BytePlus LASでは、拡張動画の基本単価が1秒あたり0.303米ドルです。Seedance 2.5で入力動画がない場合、480pの係数は0.6785、720pは1.525です。入力動画がある場合は入力と出力の合計時間を課金対象とし、係数は0.406と0.9125になります。
入力動画なし、10秒、720pの成功タスクの概算は次の通りです。
0.303 × 10 × 1.525 = 4.62075米ドル
これはBytePlusの特定経路だけの概算です。MiniMaxの公開価格ページには、同じ尺・解像度・音声・参照条件に揃えられるH3の一回単価が現在見当たりません。第三者のクレジット価格から「H3が何%安い」と断定することはできません。
採用カット単価には、失敗タスク、2K再生成や超解像、音声修正、編集時間、ローカル運用費を入れます。安い一回を何度も引き直すより、高い一回を採用できる方が制作費は下がります。
同じプロンプトではなく同じ納品条件で試す

比較用に三つのカットを用意します。15秒を超えて二回の場面変化がある連続シーン、小さな文字と手の接触を含む商品映像、日本語の短い台詞を含む顔の近景です。
画角、必須要素、人物資料、納品音声、合格条件は揃えます。ただしプロンプト文は各モデルの時間指定や参照記法に合わせて変えて構いません。同じ文字列は同じ要求ではありません。
各カットについて、最初の採用までの試行数、使える秒数、人物・商品の保持、指示達成、音声の修正量、待ち時間、請求額、手作業を記録します。これで判断は仕様表から制作費へ移ります。
- 15秒を超える連続性と多い参照、部分編集が効くならSeedance 2.5。
- 短い音声付きカットと公式2K結果が効くならH3のホスト経路。
- Baseを自社管理する必然性があるなら、H3のライセンスと運用を先に承認。
- どちらも商品や人物を守れないなら、ショットを分けるか候補を広げる。
まだ候補が多い場合は2026年のAI動画モデル比較へ進み、Seedance内の世代だけを選ぶならSeedanceモデルガイドを使う方が早いです。
2026年8月26日時点では、Seedance 2.5は長い物語、多数の参照、編集を一つの管理された工程へ集めるモデルです。H3は短い音声付き映像、ホスト型2K再生成、条件付きのBaseウェイト運用に価値があります。見栄えの良い一本ではなく、採用できる一本までの総コストで決めてください。



