日本語の文字や複雑な配置を重視するならGPT Image 2を、架空の人物や風景の自然な写真表現を重視するならNano Banana 2を、まず試す候補にできます。 ただし、これは公開作例に基づく試す順番であり、あらゆる画像での優劣ではありません。実在の人物を似せる仕事、商品の形を変えない仕事、読みやすい四コマ漫画では、別の確認が必要です。
「細かく描けているから高品質」と決めると、誤字や別人化を見落とします。反対に、背景が控えめでも、指定どおりの文言が読めて人物の特徴が保たれていれば、用途によってはその画像が適切です。ここでは、2026年9月6日時点の公式仕様と、条件を確認できる公開比較を使い、制作物ごとの選び方を整理します。
まず、比較するモデルをそろえる
Nano Banana 2はGoogleの Gemini 3.1 Flash Image、APIのモデルIDは gemini-3.1-flash-image です。Nano Banana Pro、Nano Banana 2 Lite、初代Nano Bananaは別モデルです。Googleの作例集にも複数モデルが混在するため、画像ごとの表示を確認してください。Google公式の画像生成ガイドで区別できます。
OpenAI側の対象は GPT Image 2、モデルIDは gpt-image-2 です。固定版は gpt-image-2-2026-04-21 と表記されます。GPT Image 1.5の比較結果をそのまま当てはめることはできません。GPT Image 2の公式モデル情報には、画像生成と編集への対応が記載されています。
アプリでの比較を参考にする場合は、使われたモードと実施日も見ます。同じ製品名でも、アプリが追加する処理や利用できる設定はAPIと同一とは限りません。特に「Proでやり直した」画像をNano Banana 2の結果として数えると、選択を誤ります。
日本語の画像では「正しい」「読める」「順に読める」を分ける

図版は解説用のイメージです。表紙を含め、両モデルの実測出力を示すものではありません。
文字入りの広告なら、最初に確かめたいのは文章の一致です。漢字の形だけでなく、送り仮名、句読点、日付、金額、不要な文言の追加まで見ます。文字が正しくても、スマートフォンで縮小すると読めない場合があります。漫画ではさらに、吹き出しの順序と発話する人物の対応が必要です。
ヨチオ氏の2026年4月25日の四コマ比較では、Nano Banana 2の作例に日本語や読む方向、衣服の色の誤りがありました。GPT Image 2の作例には細かな描き込みが見られる一方、残った線や情報量の多さも指摘されています。作者自身も総合的な優劣を決める比較ではないと説明しており、この例だけで日本語の成功率は出せません。
この違いは、漫画の採否に直結します。背景の線が多くても、顔や吹き出しを追いにくければ、読みやすさは下がります。絵柄が好みに近くても、服の色で人物を識別する作品で色が変われば、修正が必要です。
| 制作物 | 最初に見る箇所 | その結果で変わる選択 |
|---|---|---|
| 日本語の告知画像 | 確定した文言との一致、完成サイズでの文字の大きさ | GPT Image 2を先に試し、文字の修正が必要なら画像だけ生成して文字を後から組む方法も検討 |
| 四コマ漫画 | コマと吹き出しの順序、話者、人物の見分けやすさ | 描き込み量より、意図した順に読める結果を採用。絵柄と可読性が両立しなければ別モデルへ |
| 登場人物を継続して使う作品 | 顔、髪型、衣装の特徴がコマ間で保たれるか | 単体で最もきれいな絵より、作品内のつながりを保てる結果を優先 |
GPT Image 2を文字や配置の最初の候補にする理由は、日本語作例だけではありません。PixVerseの2026年7月8日の比較でも、掲載された作例ではコマの構成やラベルの指示への追従を評価しています。ただし、複数回の生成を通じた成功率は示されていません。日本語の縦書きや長い説明文まで同じ精度になると考えず、自分が使う文言で判断してください。
例えば四コマを作るなら、試す前に「縦一列で上から下」「各コマ内の吹き出しは右から左」など、実際の作品で必要な順序を決めます。生成後に、絵の完成度を見る前にセリフだけをたどってみると、読み順の破綻を見つけやすくなります。これは比較を行うための提案であり、両モデルで検証済みの結果ではありません。
写真らしさと「同じ人物・同じ商品」は別の品質
架空の人物を自然に描く場合は、肌や髪の質感、光の回り方、背景とのなじみが主な判断材料になります。Nano Banana 2を最初の候補にできるのは、こうした写真表現を評価する公開作例があるためです。
ただし、「人物写真なら常にNano Banana 2」とまでは言えません。falの2026年5月6日の比較では、写実的な見え方と構図の論理性で評価が分かれています。また、物体の数を指定した静物の例では、両方に個数の誤りがありました。質感が魅力的でも、指示の内容が正しいとは限らないわけです。
参照写真の人物を別の場面に移す仕事では、肌の細かさよりも「その人と分かるか」が先です。Daria Cupareanu氏の2026年5月10日の比較では、アップロードした自撮り写真の人物を保つ例で、作者はGPT Image 2を評価しています。架空のポートレートの評価とは対象が違うため、両方の報告は矛盾しません。
人物の編集なら、輪郭や目鼻の位置関係、髪の生え際、固有の特徴を参照画像と比べます。服だけを変える依頼では、服の出来栄えに加え、顔や手、背景が意図せず変わっていないかを見てください。GPT Image 2は最初に試す有力候補ですが、その人物で保持できるかが採用条件です。
商品はさらに厳密に扱う必要があります。広告風の靴が魅力的に見えても、実際に販売する靴の縫い目、留め具、ロゴ位置、靴底と一致するかは別問題です。PixVerseの靴の作例には実際の商品型番に対応する参照画像がなく、特定商品を忠実に再現できる根拠には使えません。販売画像では、両モデルに同じ商品写真を渡し、変更したい背景と、変えてはいけない製品部分を分けて確かめるのが適切です。
4Kや「高品質」の設定だけでは勝者は決まらない
Nano Banana 2の公式APIは512px、1K、2K、4Kの出力を案内しています。一方、GPT Image 2には出力サイズに加え、low、medium、high、auto の品質設定があります。Googleの「4K」とGPTの high は同じ尺度ではありません。
OpenAIのサイズと品質の説明では、GPT Image 2で3840×2160ピクセルも指定できます。ただし、総画素数3,686,400を超える出力は実験的とされています。3840×2160は8,294,400画素なので、その対象です。「GPT Image 2は4Kを出せない」と切り捨てるのも、「指定できるから品質は保証される」と受け取るのも適切ではありません。
比較では、実際に使う表示サイズにそろえて判断します。大きな出力を拡大して眺めるだけでは、縮小したときの文字の読みやすさや線の混み合いを評価できません。納品用のサイズで全体を確認してから、同じ倍率で細部を見る順番にすると、画素数の違いに引っ張られにくくなります。誤字や別人化は、単に画素数を増やしても採用可能にはなりません。
編集では設定の名前にも注意が必要です。GPT Image 2は参照画像を常に高精細に処理する仕様ですが、人物やブランドの特徴、厳密な配置を必ず保つという意味ではありません。部分編集のマスクも、周囲をピクセル単位で完全に固定する保証ではありません。OpenAIの画像生成・編集ガイドが挙げる制限を踏まえ、修正箇所の周囲も比較してください。
もう一つ、Nano Banana 2には思考機能と、任意で使うウェブ・画像検索があります。「思考しない」「検索は常に有効」とする比較は、現在のGoogle公式仕様と一致しません。falのHabitat 67という建築物の例では、Nano Banana 2側だけがウェブ検索を利用していました。実在の建物に近づく実用上の助けにはなっても、モデル単体を同じ入力で比べた結果ではない点は分けて考えます。
自分の素材で、採用できる一枚を選ぶ

図版は説明のためのイメージで、モデルの比較実験や成績を示すものではありません。
モデルを決める前に、その仕事で失敗できない条件を短く書き出します。例えば店舗の告知なら「店名と開催日が完全一致」「商品形状を変更しない」「スマートフォンで本文が読める」です。色味や光の好みは、その条件を満たした画像同士で比べます。
- 同じ材料を用意する。 確定した日本語の文言、同じ参照画像、縦横比、完成サイズをそろえます。検索を使う場合はその有無も残し、追加の情報がある結果として扱います。
- 条件違反を先に見る。 文言の照合、人数や個数、吹き出しの順序、参照対象の特徴を確認します。気に入った一枚だけでなく、生成した結果を残すと、選び直しの手間も判断できます。
- 完成サイズで見比べる。 読めるか、視線が自然に流れるか、質感が用途に合うかを確認します。モデル名を隠して見ると、好みの先入観を減らせます。
- 必要な修正を一つ試す。 実際の仕事で起こりそうな文字変更や衣装変更を行い、変更箇所以外が保たれるかを見ます。初回の美しさだけでなく、仕上げまで進められるかを判断します。
採用の考え方は明快です。片方だけが必須条件を満たすなら、その画像を選びます。両方が満たすなら、仕上がりの好みと修正のしやすさで決めます。両方とも文字を間違えるなら、より派手な画像を採用するのではなく、背景や人物を生成して文字を編集ソフトで組む、といった制作方法に切り替えます。
日本語や構成の細かな指定にはGPT Image 2から、架空の情景の自然さにはNano Banana 2から試す。そのうえで、漫画は読み順、人物は本人らしさ、商品は形の保持を合格条件にする。この順序なら、漠然とした「画質の好み」を、実際の制作に使える選択へつなげられます。



