2026年8月26日時点で、SpaceXAIのモデル一覧はコードと汎用処理の推奨としてgrok-4.6を示しています。一方、直接APIの料金表にはgrok-4.5、grok-4.3、3種類のGrok 4.20、コーディング専用のgrok-build-0.1も残っています。番号順に優劣が決まる構成ではありません。
新しい複雑なアプリなら、4.6を最初の候補にするのが自然です。ただし、100万トークンの窓、Batch、低いトークン単価、推論を行わない経路が重要なら、4.3を対照群に残します。稼働中の4.5は、4.6の改善を測るまで比較基準として価値があります。4.20 Multi-AgentとBuild 0.1は、専門タスクで個別に採用理由を確認するモデルです。
この記事の対象は、xAIへ直接接続するAPIのテキスト出力契約です。Grokアプリのモデル選択、Grok Buildに含まれる利用枠、Cursorでの提供、APIゲートウェイの価格は別契約です。APIドキュメントにIDがあっても、各製品・地域・プランで同じ選択肢が出るとは限りません。
「最新」より先に、経路と制約を確認する
| 直接APIのID | コンテキストと推論 | 最初に試す場面 | 見落としやすい境界 |
|---|---|---|---|
grok-4.6 | 500K、low〜xhigh | 長いエージェント処理、難しいコード、ツールを使う汎用アプリ | promptが200K以上になると全トークンが長文料金になる |
grok-4.5 | 500K、low〜high | 既存システムの挙動を保つ比較対象 | 現行カタログの第一推奨ではない |
grok-4.3 | 1M、none〜high、Batch | 大量文書、構造化処理、推論不要のリクエスト | 安い1回が、安い成功タスクを意味しない |
grok-4.20-0309-reasoning | 1M、reasoning固定 | 4.20の特定挙動を再現したい場合 | 日付付きIDであり、新しい汎用defaultではない |
grok-4.20-0309-non-reasoning | 1M、推論なし | 遅延を抑え、結果を機械検証できる処理 | 再試行が増えれば全体コストは上がる |
grok-4.20-multi-agent-0309 | 1M、並列調査、Beta | 分割可能で、出典と統合結果を人が確認できる調査 | 並列化で実行経路と総消費が変わる |
grok-build-0.1 | 256K、agentic coding特化 | リポジトリ変更、Web開発、ビルド復旧 | 汎用4.6の廉価版ではない |
Grok 4.6の仕様は、500,000トークンの窓、テキスト・画像入力、テキスト出力、2026年2月1日の知識カットオフを明記しています。Responses APIとChat Completionsに対応し、function calling、Web Search、X Search、コード実行を利用できます。既定の reasoning effort(推論強度)は high です。
「最新情報対応」はモデル名だけでは成立しません。学習時点より後の情報が必要ならWeb SearchまたはX Searchを明示的に有効化し、出典選択、引用、ツール障害時の挙動、遅延、呼び出し回数を評価します。
4.6は有力な仮説。自社タスクの勝者ではない
SpaceXAIは4.6を、より長いエージェント処理や高度な対話・視覚作業に向けた4.5の拡張と説明しています。発表ページでは、複数のエージェント、コーディング、知識作業評価で4.6 Highが4.5 Highを上回る結果を掲載しています。
これらは提供元が公開または収集した数値です。「長い手順で目的を保ちやすいかもしれない」というテスト仮説には使えますが、社内FAQ、法務抽出、特定リポジトリでの勝利を証明しません。
比較時は権限、タスク文、コンテキスト構成、推論強度、タイムアウト、合格条件をそろえます。初回合格率、介入回数、再試行、P95所要時間、ツール障害、全試行の費用を記録します。4.5を評価前に外すと、4.6による変化と周辺システムの変化を分けられず、ロールバック先も失います。
4.3の安さは、200Kの境界まで含めて測る
Grok 4.3の契約は1Mコンテキスト、Batch、noneからhighまでの推論設定を備えます。200K未満の100万トークン当たり料金は、入力/キャッシュ入力/出力が$1.25 / $0.20 / $2.50です。4.6は$2 / $0.50 / $6です。
キャッシュなしで入力100K、出力20K、ツールと再試行なしなら、リクエスト料金は次の通りです。
- 4.3:
0.1 × $1.25 + 0.02 × $2.50 = $0.175 - 4.6:
0.1 × $2 + 0.02 × $6 = $0.32
これは1回の料金です。4.3が2回必要で手直しも発生し、4.6が1回で合格するなら、表面上の差は逆転します。実務では、トークン、ツール呼び出し、再試行、人の修正を合計し、受け入れられたタスク数で割ります。
現行料金表には重要な段差があります。promptが200Kトークンに達すると、超過分だけでなくリクエスト全体に長文料金が適用されます。4.3は$2.50 / $0.40 / $5、4.6は$4 / $1 / $12です。不要文書の除去、retrieval、共通prefixのキャッシュ、コンテキスト圧縮が、最大窓の大きさ以上に費用を左右します。
Web Search、X Search、コード実行はトークンと別に、現在は1,000回当たり$5です。エージェントが何回呼ぶかは入力で変動するため、本番相当のusageで確認します。

4.20とBuildは、別の実行契約として試す
4.20の3つのIDは1M窓と4.3と同じトークン単価を持ちますが、reasoning、non-reasoning、multi-agentで処理経路が異なります。grok-4.20-multi-agent-0309は複数エージェントを並列実行する深い調査向けで、公式ページではBetaです。観点を分割でき、見落としの損失が大きく、人が出典と統合結果を確認できるときに候補になります。
grok-build-0.1は256K窓のagentic codingモデルで、短文料金は$1 / $0.20 / $2です。リポジトリ編集、Web開発、ビルド復旧、レビューで評価します。Grok Build製品内の利用枠と直接APIの従量課金は同じではありません。
古いIDが成功しても、古いモデルが動いた証拠にはならない
2026年5月の移行ガイドでは、旧Grok 4 Fast、4.1 Fast、grok-4-0709、grok-3が指定の推論設定で4.3へ転送され、grok-code-fast-1はgrok-build-0.1へ移ると説明されています。請求は実際の転送先モデルに従います。
コード、環境変数、設定サービス、キュー、ゲートウェイからmodel IDを洗い出し、各aliasの現在の転送先を記録します。通常入力、約200Kの長文、ツール障害、構造化出力、安全拒否を含む同一評価セットを用意します。モデルと推論強度は可逆な設定にし、小さなトラフィックから合格率、遅延、費用を見て広げます。

通常名や-latestは新バージョンへ動く可能性があります。日付付きIDは固定されます。本番の重要処理では、固定ID、計画的な更新試験、既知のロールバック先を組み合わせる方が、予告なく挙動が変わるリスクを管理しやすくなります。
結論は用途別です。複雑な汎用処理は4.6から始め、低単価・1M窓・推論なしの対照として4.3を残します。4.5は更新効果を測る間の基準、4.20 Multi-AgentとBuild 0.1は専門用途の個別実験です。
Grok以外も候補なら、別ページのコーディング向けGrok 4.6・GPT-5.6 Sol・Claude Fable 5比較へ進めます。採用を決めるのは新しさではなく、同じタスク、明示した合格条件、戻せる本番設定です。



