2026年8月15日時点では、用途より先に利用経路を確認する必要があります。 GLM-5.3はGLM Coding Planの全プランで使えますが、一般の従量課金APIはまだ「coming soon」です。DeepSeek V4 Proは8月13日にGAとなり、App、Web、APIで利用できます。
現時点の判断は次のようになります。
- 対応するコーディングツール内で新モデルを試すなら、GLM-5.3を候補にできる。
- 自社サービスへ今すぐAPI接続する、またはthinkingを無効にしたいなら、DeepSeek V4 Proが実装可能な候補になる。
- 両方を使える場合、公開スコアだけでは決めない。同じリポジトリ、権限、制限、検収条件で比較する。
日本語の説明品質や処理速度について、両モデルを同条件で比較した一次資料はありません。そこは仕様表から推測せず、日本語を含む自分の作業で確認する領域です。
「同じ1Mモデル」でも製品契約は異なる
Z.aiのGLM-5.3モデルページは、正式IDをglm-5.3、入出力をtext-only、contextを1M tokens、最大出力を128Kとしています。基礎モデルはGLM-5.2と同じで、改善はpost-trainingによるという説明です。したがって、5.2のAPI単価や体験談を5.3へそのまま適用することはできません。
DeepSeekのリクエストIDはdeepseek-v4-proで、現在の配信versionはDeepSeek-V4-Pro-0813です。アプリでは安定IDを使い、検証記録には0813を残すと、将来aliasの配信先が変わっても評価対象を追跡できます。deepseek-chatやdeepseek-reasonerはProの別名ではありません。
| 2026年8月15日の状態 | GLM-5.3 | DeepSeek V4 Pro |
|---|---|---|
| 正式なmodel ID | glm-5.3 | deepseek-v4-pro |
| 現在使える場所 | GLM Coding Plan | App、Web、一般API |
| 一般従量API | 準備中 | GA |
| context / 最大出力 | 1M / 128K | 1M / 384K |
| thinking | 常時有効、low/high/max | 有効・無効、low/high/max |
| 現在の課金単位 | 月額プラン内のcredits | token種別ごとのUSD |
| GLM-5.3の公開weights | 安全評価後およそ2週間で公開予定。確認日には未公開 | V4 Proのself-hostingはこの選定根拠に含めない |
1Mは入力を埋める目標ではありません。関連ファイルの検索が不十分なまま巨大なcontextを送ると、prefill時間、cache、無関係情報の影響が増えます。実運用では「何tokens使えたか」より、「検収を通すために実際に何tokens必要だったか」を記録します。
GLM-5.3はCoding Planとして評価する
モデル切り替えガイドでは、Claude Code / Goose向けのAnthropic-compatible、Codex向けのResponses-compatible、その他のツール向けのOpenAI-compatible endpointが分かれています。Claude Codeで1Mルートを明示するときはglm-5.3[1m]を使いますが、この[1m]はCoding Planのadapter用であり、一般APIの正式IDではありません。
一般APIの料金表には、確認時点でGLM-5.2までしか載っていません。5.2のinput $1.40/M、cached input $0.26/M、output $4.40/Mを5.3の単価として使うのは誤りです。
現在比較できるのはCoding Planの経済性です。国際向けページの月額表示はLite $18、Pro $72、Max $160でした。5時間と週間のcredits上限があり、GLM-5.3はinput 6.9、cached input 1.7、output 24のmultiplierで消費します。平日15:00–19:00(日本時間)以外と週末は標準creditsの50%です。
月額料金と余った上限まで含むため、creditsを固定のドル単価へ置き換えることはできません。チームがすでにプランを使っているか、上限に達しやすいかでも、同じタスクの実質コストが変わります。
DeepSeekは8月17日1時に価格が切り替わる
DeepSeekの公式価格ページは、旧料金と移行後のpeak/off-peak料金を両方公開しています。単位は100万tokensです。
| V4 Pro | 8月17日00:59 JSTまで | 以後のoff-peak | 以後のpeak |
|---|---|---|---|
| cache hit input | $0.003625 | $0.022 | $0.044 |
| cache miss input | $0.435 | $0.66 | $1.32 |
| output(reasoningを含む) | $0.87 | $1.98 | $3.96 |
移行は8月17日01:00 JSTです。新しいpeak時間は10:00–13:00と15:00–19:00 JST、それ以外がoff-peakです。retry、tool、税、gateway、手作業は上記に含まれません。

例として、cache miss inputが10万、outputが5万tokensの作業は、新料金のoff-peakで0.1 × $0.66 + 0.05 × $1.98 = $0.165、peakで$0.33です。同じtoken構成はGLM-5.3で約189標準creditsですが、月額プールと従量ドルを直接比較してはいけません。
比較すべき式は次です。
検収済みタスク当たりコスト = 全試行のモデル・tool・retry費用 / 検収を通ったタスク数
公式スコアは「次に何を試すか」を教える
Z.aiのGLM-5.3発表ページには、DeepSeek-V4-Pro-0813との行があります。以下はZ.aiがまとめた公表値であり、独立した同一環境の再計測ではありません。
| benchmark | GLM-5.3 | DeepSeek V4 Pro 0813 |
|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.1 | 88.2 | 87.9 |
| DeepSWE v1.1 | 66.9 | 62.7 |
| NL2Repo | 58.0 | 61.1 |
| CyberGym | 84.5 | 83.3 |
| Toolathlon Verified | 73.0 | 74.1 |
| AutomationBench v1.0.6 | 48.2 | 43.2 |
| Agents’ Last Exam CLI | 28.5 | 25.7 |
GLMが上の行もあれば、NL2RepoとToolathlonはDeepSeekが上です。さらに、GLMのTerminal-Bench 2.1には特定のClaude Code version、65,536最大生成tokens、6時間timeoutが使われ、NL2Repoには1M context、64K output、追加の判定ルールがあります。対戦相手の全条件が各行で同じ粒度まで公開されているわけではありません。
DeepSeek側の更新履歴はTerminal Bench 2.1を87.9、DeepSWEを62.7とし、Code Agent評価ではDeepSeek Harness minimalとmax effortを使用したと説明しています。数値の出所を追う材料にはなりますが、あなたのcoding agentと同じ実行条件を保証しません。
日本語タスク、provider latency、structured outputの安定性、cache hit率、人間の修正回数は、この表では決まりません。0.3ポイント差を運用判断へ変換する前に、自社条件で再現する必要があります。
thinkingとtool loopは移行時に必ず確認する
GLM-5.3はthinkingを完全に無効化できません。標準contractはlow/high/maxでdefaultはmaxです。Coding Planの互換layerは、disabledやnoneを拒否せずlowへ変換します。短い分類や定型変換では、これがlatencyとcreditsにどう影響するかを確認します。
DeepSeek V4 Proはthinkingを無効化できます。thinking中はtemperatureやtop_pなどが効きません。tool call後の継続にも条件があり、前のassistant messageからreasoning_content、content、tool_callsを丸ごと保持してからrole: toolを追加します。thinking modeの公式ガイドでは、reasoning_contentを落とすと次のrequestがHTTP 400になる場合があります。
DeepSeekのResponses実装はstatelessで、対応しない状態管理やtool parameterを無視します。画像・file inputも対象外です。GLMも実際のtool動作はCoding Planのclientとprotocolに依存します。「互換」と書かれていても、base URLだけ変更して本番移行を完了したことにはなりません。
日本語を含む同条件テストを作る
最近完了した実務から15件前後を選びます。小さなbug fix、複数fileの変更、長いrefactor、toolを何度も使う調査、厳密なJSON出力、日本語の仕様・error説明を含めます。

両候補で同じcommit、file権限、tool、context policy、effort、timeout、最大turn、retry回数を固定します。先にtests、schema、画面、事実確認などの合格条件を決め、各runについて次を記録します。
- 合格/不合格と失敗した条件
- input、cached input、output、reasoning tokens
- GLM creditsまたはDeepSeekのUSD、tool費用
- 経過時間、turn、再起動
- 人間の追加指示、承認、修正
- protocolやclientによる機能差
必要なendpointが使えない、必須toolを再現できない、2回目の代表batchでも検収率やタスク当たりコストが劣る、といった停止条件も先に決めます。
現在の結論は明確です。対応するCoding Plan内で新モデルを今試すならGLM-5.3、一般APIへ今実装するならDeepSeek V4 Pro。 両方を選べるときは、公開表ではなく、日本語を含む実務での検収率・結果コスト・運用摩擦で決めてください。



