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Gemini 3.5 Transcribeの使い分け:録音ファイルとリアルタイム文字起こし

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10 min readAPI Guides

録音済みならgemini-3.5-transcribe、マイク入力ならgemini-3.5-transcribe-liveです。逐語記録、整文、話者、時刻のどれが必要かで設定が変わります。

Gemini 3.5 Transcribeの録音ファイルとリアルタイム文字起こし、verbatimとsmart、制限、料金、データ利用を比較する日本語ガイド

録音済みの会議や取材を文字にするなら gemini-3.5-transcribe、話している最中に字幕を出すなら gemini-3.5-transcribe-live を使います。どちらも音声からテキストを生成しますが、接続方法と取得できる情報は同じではありません。

Gemini 3.5 Live Translateは別製品です。こちらは音声を別言語の音声へ変換するspeech-to-speechモデルであり、文字起こし用model IDの代替ではありません。従来のGeminiに音声ファイルを渡して要約や質問応答を行う方法とも、専用Transcribe APIの出力契約は異なります。

Googleは2026年8月26日にGemini 3.5 Transcribeを発表し、開発者向け提供を public preview としています。試作や評価はできますが、仕様変更に備えてmodel IDを設定化し、失敗率・遅延・コストを観測できる状態で導入するのが前提です。

録音とライブでは、できることが違う

録音ファイル向けモデルはInteractions APIで使います。現在は1リクエスト最大1時間です。話者分離または単語単位タイムスタンプを有効にすると上限が30分になります。

ライブ向けモデルはLive APIの双方向接続で音声を受け取り、話している途中から増分テキストを返します。現在は1セッション10分です。単語タイムスタンプと話者分離は使えません。

必要な結果選ぶモデル現在の制約
MP3などの完成済み音声を全文文字起こしgemini-3.5-transcribe最大1時間
録音から話者と単語時刻を取得同上、verbatim設定最大30分、3人以上の帰属はexperimental
マイク音声をリアルタイム表示gemini-3.5-transcribe-live1セッション10分
口述を読みやすい文章に整えるsmartモード話者・単語時刻とは併用不可
別言語の音声を返すGemini 3.5 Live Translate別のspeech-to-speechモデル

モデル仕様では、85以上の言語の自動検出と、発話単位の言語切り替えに対応します。日本語の公開コードは ja-JP です。言語が決まっている音声では明示指定と自動検出を同じ評価セットで比べ、固有名詞や数字に差が出るか確認します。

Gemini 3.5 Transcribeの目的別選択ガイドで、録音・話者時刻・ライブ字幕・smart整文・Live Translate、実装フロー、料金、データ利用、検証条件を整理
Gemini 3.5 Transcribeの目的別選択ガイドで、録音・話者時刻・ライブ字幕・smart整文・Live Translate、実装フロー、料金、データ利用、検証条件を整理

「きれいな文章」が必要か「言った通り」が必要か

デフォルトの verbatim は、「えー」「あの」といったフィラー、繰り返し、言い直し、途中で止まった文を残します。インタビュー原稿、品質確認、証拠性のある記録、字幕の同期など、音声へ戻って検証する用途に向いています。

smart はフィラーを削除し、言い直しを最終意図にまとめ、句読点、日付、数値、リスト、段落を整えます。音声メモから読みやすい議事メモや下書きを作る用途には便利ですが、発話の逐語記録ではありません。

公式の文字起こしガイドでは、smartと timestamp_granularities / diarization_mode の併用は不可です。監査可能な原文と読みやすい要約の両方が必要なら、まずverbatimで注釈付きの記録を作り、別処理で要約を生成します。

JavaScriptで録音ファイルを処理する

Files APIへ音声をアップロードし、得られたURIをInteractions APIに渡します。API keyは実行環境に置き、ブラウザへ埋め込んだりリポジトリへ保存したりしません。

js
import { GoogleGenAI } from "@google/genai"; const client = new GoogleGenAI({}); const audio = await client.files.upload({ file: "./interview.mp3", config: { mime_type: "audio/mp3" }, }); const result = await client.interactions.create({ model: "gemini-3.5-transcribe", input: [ { type: "audio", uri: audio.uri, mime_type: audio.mimeType, }, ], generation_config: { transcription_config: { language_codes: ["ja-JP"], custom_vocabulary: ["Gemini", "Interactions API", "渋谷スクランブル"], mode: { type: "smart" }, }, }, }); console.log(result.output_text);

custom_vocabulary には製品名、人名、型番、業界略語など、誤認識が結果を変える語だけを入れます。上限は1,000語ですが、Googleは通常100語以内の絞ったリストで良い結果が得られると案内しています。

話者と単語時刻が必要な場合は、modeを次の形に変更します。

js
mode: { type: "verbatim", timestamp_granularities: ["word"], diarization_mode: "speaker", }

全文は result.output_text、単語ごとの時刻とspeakerはレスポンス内のannotationsから取得します。平文に自動で [Speaker 1] が入ると仮定せず、SDKの steps → content → annotations を明示的に解析します。

仕様上は最大8話者ですが、3話者以上の帰属はexperimentalです。8人会議をそのまま保証する数字ではありません。声が似た参加者、割り込み、遠いマイクを含む音声で話者誤りを別に測定してください。

Gemini 3.5 Transcribeの実装と検証の要点で、Files APIからInteractions API、JavaScript設定、annotations解析、モデル制約、評価、価格、データ利用を示す
Gemini 3.5 Transcribeの実装と検証の要点で、Files APIからInteractions API、JavaScript設定、annotations解析、モデル制約、評価、価格、データ利用を示す

ライブ字幕はinterimを保存しない

Live transcriptionガイドは、会話エージェントと文字起こしパイプラインを分けています。Transcribe Liveはraw 16-bit PCMを受けてテキストを返します。このモデル契約にツール実行や音声応答は含まれません。

ライブ中には素早く更新されるinterimと、確定したfinalの両方が届きます。interimは画面上の仮字幕に使えますが、DB保存、検索インデックス、タスク作成などの確定処理に使うと、後から修正された語が残ります。永続化はfinalを基準にします。

10分の境界では、最後のfinal位置を記録して新しいセッションを開き、再接続前後の重複を除去します。ライブ表示と、話者・単語時刻付きの会議記録を両立したい場合は、同意を得て原音声を安全に保存し、終了後に録音モデルへ送る二段構成が必要です。保存、権限、削除の責任も増えるため、目的が明確な場合だけ採用します。

1分あたりの料金とデータ利用

2026年8月27日時点のGemini Developer API料金では、free tierに加え、paid standard tierの概算が次のように示されています。

ルート音声入力テキスト出力合計概算
Recorded Transcribe約$0.003/分約$0.002/分約$0.005/分
Transcribe Live約$0.005/分約$0.004/分約$0.009/分

1時間の録音はモデル料金だけなら約$0.30です。liveを合計1時間使う概算は約$0.54ですが、現行上限では複数セッションに分かれます。アップロード、ストレージ、再試行、後処理、人手確認は別コストです。

料金表では、free tierの送信内容はGoogle製品の改善に使われる一方、paid tierは使われないと記載されています。顧客通話、医療、法務、社外秘ではfreeという理由だけで選ばず、現行規約、地域、同意、保持期間、アクセス制御、削除手順を確認します。

公開WERより先に、自分の失敗条件を決める

Googleの発表は、Artificial Analysisによる平均WERとしてstreaming 4.0%、non-streaming 2.6%を掲載し、Chirp 3よりtime to finalが70%改善したとしています。FLEURSの多言語結果もあります。これはGoogleが公開した比較情報であり、こちらで再現した値でも、日本語の会議録で保証される精度でもありません。

許可を得た実音声から、静かな部屋と雑音、1人と複数人、割り込み、氏名、金額、注文番号、英語混在、長い間を含む小さな評価セットを作ります。verbatim/smart、ja-JP/自動検出、語彙なし/絞った語彙を比較し、数字誤り、話者帰属、final遅延、再接続重複、受け入れ可能な1件あたりの費用を記録します。

原記録が必要ならrecorded + verbatim、口述の整文ならsmart、その場の字幕ならliveから始める。この順序なら、モデル名ではなく必要な成果物から実装を決められます。