2026年8月25日時点で、新しいGemini Developer API実装の基準にしやすいのは gemini-3.7-flash です。正式版(GA)で、コード生成、エージェント型ワークフロー、複数段階の処理を広く担当できます。分類、抽出、翻訳のように正解を機械的に確認できる大量処理なら、まず gemini-3.5-flash-lite を試すと費用を抑えやすくなります。
一方、gemini-3.1-pro-preview は名前だけで既定モデルにするべきではありません。プレビュー版は仕様や挙動が変わる可能性があり、正式版とは運用リスクが異なります。自社の難しいタスクで 3.7 Flash より明確に良い結果が出たときに、限定的に使うのが安全です。
ここで扱うのは、テキスト、画像、動画、音声、PDFを入力し、テキストを返す汎用モデルです。画像生成、Live API、音声合成、Embedding、Geminiアプリの料金プランは別の製品面なので、この比較には含めません。
まず決めるモデル
| 実装したい処理 | 最初に評価するモデル | 採用前に確認すること |
|---|---|---|
| 新規サービス、コード、複数ツールの連携 | gemini-3.7-flash | 品質、P95レイテンシ、tool call成功率 |
| 3.6で安定稼働している処理 | gemini-3.6-flash と3.7を並行評価 | 急な全面移行ではなくロールバックを残す |
| 抽出、分類、翻訳、ルーティング | gemini-3.5-flash-lite | JSON Schemaや必須項目で結果を検証できるか |
| 3.1 Liteの低コスト処理 | gemini-3.1-flash-lite | 現在は安いが、次の移行先も準備する |
| 複雑な推論、難しいコード、custom tools | 3.7とgemini-3.1-pro-preview | Previewの差がコストと変更リスクを上回るか |
| 2.5系を使う本番環境 | 3.xへの移行を開始 | 最短の停止予定日は2026年10月16日 |
1つのモデルに全リクエストを固定する必要はありません。構造化出力を検証できる定型処理はFlash-Liteへ送り、失敗、曖昧な入力、複数段階の処理だけを3.7 Flashへフォールバックする構成も有効です。

現行モデルの違い
Googleのモデル一覧では、3.7 Flash、3.6 Flash、3.5 Flash、3.5 Flash-Lite、3.1 Flash-Liteが安定版として掲載されています。3.1 Proと3 FlashはPreviewです。
Gemini 3.7 Flash:新規実装の基準
3.7 Flashの仕様は、入力上限1,048,576トークン、出力上限65,536トークンです。コンテキストキャッシュ、コード実行、function calling、構造化出力、Grounding、URL Contextをサポートします。
Googleはコードやエージェント処理に適したモデルとして説明していますが、これは提供者による位置付けです。採用判断では、自社の入力を使って初回成功率、ツール呼び出しの正確さ、P95レイテンシ、採用できた回答1件当たりの総トークンを測ります。
3.6 Flashと3.5 Flash:正式版だが役割は異なる
gemini-3.6-flash は既存システムの安定した予備候補になります。2026年末までは3.7と同じ標準プロモーション料金です。gemini-3.5-flash も正式版で同じ入力・出力上限を持ちますが、現行の概要ではlegacyとされ、標準料金は3.7や3.6より高く設定されています。既存の品質要件がある場合は維持できますが、新規採用なら世代名だけでなく料金と移行コストを比較します。
Flash-Lite:検証できる大量処理向け
3.5 Flash-Liteは、低レイテンシ、高スループット、文書解析、単純な抽出、エージェントの補助処理を想定した正式版です。コンテキスト上限がFlashと同じでも、推論品質や失敗率まで同じという意味ではありません。
固定したラベル、必須フィールド、JSON Schemaなどで合否を判定できる処理に向きます。安価でも、再試行が増えたり誤ったツールを呼んだりすれば、採用できる結果1件当たりの費用は高くなります。
gemini-3.1-flash-lite は現在の公表単価がさらに低い一方、世代は古く、廃止予定表では3.5 Flash-Liteが後継として案内されています。長期間運用する新規システムでは、安い単価だけで固定しない方がよいでしょう。
3.1 Pro Preview:例外として評価する
3.1 Pro Previewは、複雑な処理、software engineering、精密なツール利用を想定し、custom tools用の別IDもあります。ただしPreviewである以上、契約、上限、挙動の変更に備える必要があります。3.7 Flashで失敗すると事業上の損失が大きいタスクだけを抽出し、同じ評価セットで比較してください。
標準API料金を比べる
公式料金表の標準有料推論を、100万トークン当たりの米ドルで整理すると次のとおりです。出力料金にはthinking tokensが含まれます。Batch、Flex、Priorityは別料金です。
| モデル | 入力 | thinkingを含む出力 | 状態・条件 |
|---|---|---|---|
| 3.7 Flash | $0.75 | $3.75 | GA。2026年12月31日までのプロモーション、その後は$1.50 / $7.50予定 |
| 3.6 Flash | $0.75 | $3.75 | GA。同じプロモーション期限 |
| 3.5 Flash | $1.50 | $9.00 | GA、legacy |
| 3.5 Flash-Lite | $0.30 | $2.50 | GA |
| 3.1 Flash-Lite | $0.25 | $1.50 | GA。テキスト・画像・動画入力の単価 |
| 3.1 Pro Preview | $2.00 / $4.00 | $12.00 / $18.00 | promptが20万トークン以下 / 超で段階制 |
入力単価だけで判断せず、入力 + thinkingを含む出力 + ツール + 再試行 + キャッシュ を合計します。同じ評価表に成功率、P95、トークン数、再試行回数を記録すると、安いモデルが本当に安いか判断できます。
無料枠の対象、上限、地域はモデルやプロジェクトによって異なります。料金ページでは、free tierで送信した内容はGoogle製品の改善に利用される場合があり、paid tierの内容はその目的に使わないと説明されています。機密データを扱う場合は単価だけでなく、この条件も確認してください。
Thinking levelを固定して比べる
Thinkingの仕様では、3.7 Flashの既定値はmediumで、low、medium、highを選べます。3.6 Flashと3.5 Flash-Liteはminimalにも対応し、3.1 Pro Previewの既定値はhighです。
比較時にthinking levelを固定しないと、モデルと推論量を同時に変えることになります。抽出など単純な処理はlowまたはminimalから始め、難しいコードやtool useは必要な範囲で上げます。その際、出力課金とタイムアウトも一緒に監視します。
3.7への移行ガイドでは、temperature、top_p、top_kの削除、thinking_budgetからthinking_levelへの変更、function response規則の確認が必要です。モデルIDだけを交換して終わりにはできません。
2.5系から安全に移行する
公式の廃止予定によると、2.0 FlashとFlash-Liteは2026年6月1日に停止済みです。2.5 Pro、2.5 Flash、2.5 Flash-Liteは、最短で2026年10月16日に停止予定です。Googleはこれを最短日としており、正確な日付は後から通知される場合があります。
移行では、まずコード、環境変数、キュー、管理画面に残るモデルIDを洗い出します。通常入力、長文、tool failure、structured outputを含む固定評価セットを作り、3.x用のパラメータとthought signaturesを更新します。モデルは設定で切り替えられるようにし、小さなcanaryから開始してフォールバックを残します。

新規開発は3.7 Flashを基準に、繰り返し可能で検証できる処理をFlash-Liteへ分け、Pro Previewは本当に難しい一部の処理に限定するのが現実的です。モデル名の順位ではなく、正式版かどうか、採用結果当たりの費用、失敗時の影響、次の移行先まで含む運用ルールとして決めてください。



